前立腺がん
- イソフラボンは前立腺がんの予防に効果がありますか?
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豆類、とくに大豆に多く含まれるイソフラボンの摂取は血中のSHBG(性ホルモン結合グロブリン)という物質を増加させ、前立腺がん細胞の増殖を抑制することが実験でも示されていて、日本でも臨床試験が行われています。
現在までの疫学的調査とイソフラボンを用いたランダム化試験のメタ解析の結果は、イソフラボンの前立腺がん予防効果に肯定的で、今後のさらなる検討が待たれているところです。詳しくは以下の連載インタビュー
「前立腺を守る」ということは。
第8回「意識して摂取したい「イソフラボン」」をご覧ください。
- コーヒーは前立腺がんと関係がありますか?
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ハーバード公衆衛生大学院で47,911名の男性を対象に、1986年から4年ごとにフォローを行う大規模研究が行われました。
前立腺がんに罹患した642人の追跡調査を行い、前立腺がんの再発や進行について調べた結果、1日6杯以上のコーヒーを飲む人は、飲まない人と比べると、前立腺がんの発症リスクが18%低く、死に至るような悪性前立腺がんのリスクが60%低いことが判明しました。
日本人を対象とした疫学研究においても、1日に3杯またはそれ以上コーヒーを飲む人は、前立腺がんになるリスクが40%低いという報告があります。詳しくは以下の連載インタビュー
「前立腺を守る」ということは。
第7回「コーヒーに前立腺がん予防の可能性」をご覧ください。
- 肥満と前立腺がんは関係があるのですか?
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厳密には研究結果の解析が待たれているところではありますが、発表される論文の多くが「メタボリック症候群が強力な前立腺がんのリスクファクターになっている」というものです。
BMIが30以上では前立腺がんによる死亡が約2倍になるという報告もあります。詳しくは以下の連載インタビュー
「前立腺を守る」ということは。
第5回「肥満はテストステロン(男性ホルモン)を減少させる。」をご覧ください。
- 日本人は前立腺がんになりにくいって本当ですか?
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前立腺がんになるリスクの高さは、黒人種、白人種、黄色人種の順と言われています。
日本人は黄色人種ですから、元来前立腺がんの発症率は高くないはずです。
ところが、2020年には1995年の6倍になると予測される勢いで、日本人男性の前立腺がん罹患者が増えているのが現実です。
ライフスタイルと前立腺がんの発症には密接な関係があるということが示唆されています。
実際、アメリカに移住した日本人には前立腺がんの発症リスクの増加が見られます。
豆類などのポリフェノールを含む食生活が、黄色人種の前立腺がん発症率の低さに関与しているのではないかとも言われています。詳しくは以下の連載インタビュー
「前立腺を守る」ということは。
第3回「日本人は本来、前立腺がんに罹患しづらい人種です。」
第5回「肥満はテストステロン(男性ホルモン)を減少させる。」をご覧ください。
- 運動すれば前立腺がんを予防できますか?
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運動不足と食生活が前立腺がん発症に関連しているといった疫学的研究は多数あります。
30METs以上の運動は、前立腺がんのリスクを約4割減少させるという報告もあります。詳しくは以下の連載インタビュー
「前立腺を守る」ということは。
第4回「射精の回数が多いほど、前立腺がんのリスクが低下?」をご覧ください。
- 前立腺がんにならないためには禁煙した方がいい?
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前立腺がんの発症率と喫煙の関係は見られていないのですが、前立腺がんによる死亡リスクに関係しているという疫学的なデータが出ています。
10年以上禁煙するか、10年以下でも1年に20パック以下の喫煙であれば、前立腺がんのリスクが低下するという報告がなされています。
一方、アメリカでのHealth Professional Follow-Up Studyでは、1986年〜2006年まで5366名をフォローし、喫煙を続けた場合の前立腺がんによる死亡リスクは、非喫煙者の1.6倍という結果を報告しました。詳しくは以下の連載インタビュー
「前立腺を守る」ということは。
第4回「射精の回数が多いほど、前立腺がんのリスクが低下?」をご覧ください。
- PSA検査で前立腺がんが見つかる確率はどれくらい?
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PSA4.0〜10ng/ml未満の方のうち、生検を受けて前立腺がんが見つかるのは25〜30%です。
10ng/ml以上では50〜80%の検出率が報告されています。
PSA値が高いほど前立腺がんの見つかる確率が高く、進行度合いも高くなる事実は否めませんが、すぐには治療の必要のないおとなしいがんもPSA検査は拾い上げてしまいます。詳しくは以下の連載インタビュー
「前立腺を守る」ということは。
第2回「PSA検査で前立腺がんが見つかる確率はどれくらい?」をご覧ください。
- 前立腺以外の他の臓器の異常でPSA値が高くなることはないのですか?
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それはありません。
PSAは加齢にともなう前立腺の肥大や炎症などによっても上昇することはありますが、前立腺の異常にのみ反応するタンパク物質です。詳しくは以下の連載インタビュー
「前立腺を守る」ということは。
第1回「PSAは本来、精液中に存在するタンパク質。」をご覧ください。
- PSAが基準値を超えたら、どうするのですか?
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泌尿器科医のいる精密検査機関を受診し、PSA再検査、超音波検査、直腸診などを行います。
最近では、前立腺の造影MRI検査が最も有用であることがわかってきました。
前立腺肥大症や前立腺炎などの良性の疾患でもPSA値は高くなりますから、疾患の鑑別も大切です。
精密検査で前立腺がんが疑われる場合は、確定診断のために前立腺針生検が必要になります。詳しくは「PSA検査Q&A」をご覧ください。
- PSA検査で基準値を超える人はどれくらい?
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約8%の方が基準値を超え、危険値、または基準値と危険値の間のグレーゾーンで前立腺がんの可能性ありとなります。
しかし、可能性であって診断ではありません。詳しくは「PSA検査Q&A」をご覧ください。