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最新研究報告

食生活パターンやサプリメント摂取と前立腺肥大症発症リスクについて

食生活のパターンやサプリメントの摂取と前立腺肥大症の発症リスクとの関連について調べた研究報告をご紹介します。

1994年から2003年にかけてアメリカで実施された、PCRT(Prostate Cancer Prevention Trial)、直訳すると前立腺がん予防試験という有名な臨床試験があります。フィナステリドという薬が前立腺がんのリスクを低くすることができるかどうかを7年間の追跡調査により調べたもので、対象者をランダムに2つのグループにわけ、一方にはフィナステリドを服用してもらい、もう一方にはプラセボ(偽薬)を服用してもらい薬の効果を調べるというランダム化比較試験という方法が採用されました。

さて、今回ご紹介する研究は、その前立腺がん予防試験のプラセボ群(偽薬を服用したグループ)を対象として、食生活パターンやサプリメント摂取と前立腺肥大症にかかるリスクとの関係を調べたものです。大規模試験なのでプラセボ群だけでも9,457名、その内の適格者4,770名を対象に、食物摂取頻度調査票で過去1年間の特定の食品の食べた頻度や量、サプリメントの利用状況について答えてもらい前立腺肥大症の発症との関係を解析しました。

その結果、7年の追跡期間内に876名が前立腺肥大症を発症しました。

食品の食べる量で5つのグループにわけたところ、トータルの脂肪摂取量が最も多かったグループの男性の前立腺肥大症発症リスクは、最も少なかったグループの男性に比べて31%、多価不飽和脂肪酸(植物油に豊富な脂肪酸)の摂取量が最も多かったグループの男性の発症リスクは、最も少なかったグループの男性に比べて27%、それぞれ高かったことがわかりました。

反対に、たんぱく質の摂取量が最も多かったグループの男性の発症リスクは、最も少なかったグループの男性に比べて15%低いこともわかりました。

そして、まったくアルコールを飲まない男性に比べて、日に2単位以上飲む男性は発症リスクが33%低く、同様に野菜を1日4servings以上食べる男性は、1servingも食べない男性に比べて発症リスクが32%低いことが明らかになりました。

また、毎日赤身の肉を食べる男性は、1週間に1serevingも食べない男性に比べて発症リスクが38%も高いこともわかりました。

サプリメントの摂取については、抗酸化サプリメントの摂取と前立腺肥大症の発症リスクの関連は見られませんでしたが、リコピンや亜鉛、そして、ビタミンDのサプリメントの摂取は発症リスクの低減に関連しました。

これらのことから、脂肪を摂り過ぎないように気をつけ、赤身の肉よりも、魚や植物性たんぱくや野菜中心にし、適度な飲酒が前立腺肥大症の発症リスクの低減につながるかもしれません。

・論文:
Dietary Patterns, Supplement Use, and the Risk of Symptomatic Benign Prostatic Hyperplasia: Results from the Prostate Cancer Prevention Trial. Am J Epidemiol 2008; 167: 925-934

by 事務局スタッフ