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最新研究報告

生活習慣の改善は早期前立腺がんの経過観察に有効か

早期の前立腺がんであるため積極的な治療は行わず、経過観察(待機療法)を選択した場合、食生活の改善やサプリメント、運動、ストレスマネジメントなどの生活習慣の改善がその後の前立腺ガンの進行にどのように影響するのかを調べた研究報告がありますのでご紹介します。

The Prostate Cancer Lifestyle Trial(The PCLT:前立腺がん生活習慣試験)という臨床試験で、前立腺生検によって早期前立腺がん(グリソンスコア7未満、PSA 4〜10ng/ml)と診断され、経過観察(待機療法)を選択した93名の男性(58〜74歳、平均年齢66歳)をランダムに2つのグループに分け、一方のグループ(43名)には生活習慣を見直すように指導し、もう一方のグループ(49名)はなにもせずに、2年間の追跡調査を行いました。

生活習慣の改善の内容は以下の通りです。
・食事:低脂肪食、野菜中心(菜食主義)。
・サプリメント:ビタミンC、ビタミンE、DHA&EPA(魚油)、セレン、マルチビタミン(鉄は除く)、大豆イソフラボン、リコピン(トマトジュース)
・軽い運動:週に3時間程度
・ストレスマネージメント:日に1時間程度のリラクゼーション法
・グループサポートセッション:週に1日。

その結果、生活習慣を改善しなかったグループでは13名(27%)が前立腺がんの進行により、前立腺摘出術や放射線治療、男性ホルモン除去療法などの治療を受けたのに対して、生活習慣を改善したグループでは2名(5%)でした。

また、生活習慣を改善しなかったグループでは3名がPSA値が10以上に上昇したのに対して、生活習慣を改善したグループではPSA値が10以上の上昇した男性はいませんでした。

このことから早期前立腺がんで経過観察を選択した場合、食生活の改善やサプリメント、運動、メンタルケアなどによって、前立腺がんへの治療の実施を遅らせたり、不要となるかもしれないことがわかりました。

・論文:
Clinical Events in Prostate Cancer Lifestyle Trial: Results From Two Years of Follow-Up. UROLOGY.2008; 72: 1319-1323

by 事務局スタッフ