運動編
運動不足が続くと、前立腺肥大症の症状が進行しやすくなりますよ。
運動はめんどうくさいなぁ。運動しても、前立腺の変化は見えないからなぁ…
少し汗ばむくらいの適度な運動を1日30分の日課に
1日30分、ウォーキングやジョギング、サイクリングなど適度な運動を習慣づけると排尿もスムーズになり、不快になりがちな下半身の症状も軽減してきます。
トイレが心配でなかなか熟睡できない人も、適度な運動で疲労を感じると、ぐっすり眠れるようになってきます。適度な運動には便秘を防ぐ、血行をよくするなどの効果もあります。骨盤内の血行が不十分だと、前立腺が虚血におちいって、前立腺肥大症の症状が強くなる恐れがあります。
- 正しく理解!便秘は前立腺のうっ血を招く!
- 便秘と前立腺のトラブルは、一見関係がないようですが、大いに関係しています。便秘は前立腺のうっ血を招くからです。
- 正しく理解!座りっぱなしで肥大が進む?
- 長時間座りっぱなしの状態を続けると、骨盤内がうっ血して、前立腺肥大症の症状が悪化してしまうことがあります。デスクワークの人は、1時間に1回は立ち上がり、ストレッチをしたり、歩き回るなどして体を動かすようにしましょう。長時間の運転にも言えることです。
前立腺と運動の関係についての研究報告
前立腺の健康と運動との関連研究は数多く実施されています。そして、前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺がんのいずれも、運動が予防や症状の緩和に有効であるとの報告がなされています。もちろん、過ぎたるは及ばざるがごとしで、過激な運動は禁物ですが、それぞれに適度な強度とペースで続けることが前立腺の健康には大きく寄与するでしょう。
- 正しく理解!ウォーキングは前立腺肥大症の夜間頻尿を緩和する
- 前立腺肥大症で夜間頻尿を訴える30名の患者(平均年齢71歳)を対象に、夕方から夜間に30分以上の早歩きのウォーキングを8週間行ってもらったところ、夜間排尿回数が平均3.3回から1.9回に著しく減少。67%の男性が運動する前に比べて眠りが深くなったと答えています。このことから運動することで睡眠が深くなり、目が覚める膀胱容量が増加したため、夜間の排尿回数が減少したのではないかとしています。
(Biomedical Research 2007;28:101 より)
- 正しく理解!運動が前立腺がんの進行を抑える
- 2,705人の前立腺がんと診断された男性を対象に、18年間にわたって追跡調査を実施。ウォーキングやジョギング、自転車、水泳などの一週間の運動時間を調査しました。その結果、中等度からより活動的な運動をした男性ほど、全般的な生存率が高いことがわかりました。ゆっくりとしたスピードで90分未満のウォーキングを行うグループに比べて、やや速いスピードで90分以上歩いていたグループでは、総死亡率が46%低下していたとのことです。
活発な運動(週3時間を超える)のみが、前立腺がんによる死亡リスクの低下に関連しており、活発な運動を行っていたグループでは、週の運動時間が1時間未満のグループに比べて、前立腺がんによる死亡リスクが61%低下していました。週3時間以上のしっかりとした運動は、全般的な健康を高めるのはもちろん、前立腺がんの患者の予後を改善する上で効果的なようです。
(Journal of Clinical Oncology.2011; 29: 726-732 より)