PSA値が高くなるワケ
PSA値が高くなる背景を見ていきましょう
55歳、今年の健康診断でPSA値4.1ng/mlに。グレーゾーン突入で、不安が噴出。
前立腺肥大症の薬を飲むたびに、この上がんになったらと思うと滅入る。
生検でがんは見つからず。でも「がん」の二文字が頭から離れないのです。
PSA値だけで、がんの妄想をしないこと。大切なのは、数値が高くなっている原因を正しく見極めることです。
PSAは前立腺液に含まれるたんぱく分解酵素で、前立腺がん特有のものではありません。前立腺肥大症や前立腺炎などが原因でもPSA値は高く示されます。実際、加齢によって肥大する前立腺によって、50歳代で約50%、80歳以上では80%を超える人が前立腺肥大症にかかっているのが現実です。
まずPSA検査の結果を見て、数値に翻弄されないこと。たとえがんが見つかっても、初期の前立腺がんは根治も可能であることも覚えておいてください。自覚症状のない初期がんを発見できるのも、現在のところ精度の高いPSA検査をおいてほかにありません。また、前立腺がん以外では、このような便利な腫瘍マーカーはありません。
Why?なぜPSA値は、前立腺がんで高くなるのか
PSAは前立腺細胞から分泌され、前立腺液に混じって尿道に噴出されます。この間は、閉ざされた空間を移動している状態ですから、PSAが血液中に大量に漏出することは非常に稀です。逆に言えば、少量のPSAは全ての男性の血中にも出ているのです。ところが前立腺がん細胞の細胞壁は、正常な細胞壁に比べると不完全です。このためPSAが血液中に漏れ出しやすく、その結果PSA値が高く示されるのです。
Why?なぜPSA値は、前立腺がんでなくても高くなるのか
がん細胞の細胞壁でなくても、腺細胞→腺腔管→前立腺噴出孔に至るまでの閉ざされた空間の一部に傷がつけば、PSAは血液中に浸出することができてしまいます。傷の原因として考えられるのが、前立腺炎、前立腺肥大症や膀胱頚部硬化症、前立腺への物理的な刺激などです。
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前立腺炎で、PSA値が高くなるワケ
急性前立腺炎の場合、細菌を補食・攻撃する白血球の寿命が尽きると前立腺の中で自爆します。その時に白血球から強力な酸化物質が一気に放出されます。放出された酸化物質は前立腺内の上皮組織を傷つけ、PSAを漏出させてしまいます。
前立腺肥大症や膀胱頚部硬化症で、PSAが高くなるワケ
軽度の慢性的な炎症が併発していることが考えられます。肥大の体積に比例して高くなるのが一般的です。肥大による排尿障害が原因で高くなることもあります。
前立腺への物理的な刺激でPSA値が高くなるワケ
自転車に乗った時にサドルから会陰部(狭義では外陰部と肛門の間)への圧迫刺激によって前立腺の組織が壊れ、その結果、PSAが漏出することが考えられます。
前立腺がん以外にPSA値を上げる原因がこんなにあるとは…
私の場合は、前立腺肥大症がPSA値を上げてしまっているパターン。
そういえば、私も最近、夜のトイレが前より近いような。
前立腺の肥大そのものは加齢現象ですが、50代から半数以上の人が肥大症で、おしっこに何らかのトラブルを抱えているのが現状です。